秘
厚生労働省において、療養給付費負担金の交付額の算定を適
切なものにするため、国民健康保険における退職被保険者の
被扶養者の適用を的確に行うよう改善させたものについての
報告書(要旨)
事態の概要
厚生労働省では、国民健康保険について各種の国庫助成を行っており、その一つとし
て療養給付費負担金(以下「国庫負担金」という。)を交付している。国庫負担金の交
付の対象となるのは、一般被保険者に係る医療費となっており、退職被保険者及びその
被扶養者(以下「退職被扶養者」という。また、退職被保険者と合わせて「退職被保険
者等」という。)に係る医療費については、国庫負担金の交付の対象とはなっていない。
そして、退職被保険者等への資格異動は、届出を前提に行われ、届出がない者につい
ては、届出を勧奨するなどして、退職被保険者の適用の的確な実施が図られてきた。
しかし、退職被保険者等に対する給付割合が一般被保険者と同一となり、届出が的確
に行われなくなることが懸念された。そこで、退職被保険者の資格要件に該当する者
(以下「退職該当者」という。)であることが確認できるときには、届出を省略した適
用が可能となるよう、国民健康保険法施行規則の改正等が行われたが、退職被扶養者の
資格要件に該当する者(以下「退職被扶養該当者」という。)については、引き続き届
出を省略した適用を認めていなかった。
検査の結果
経済性等の観点から、退職被扶養者の適用が的確に行われ、ひいては、国庫負担金の
交付額の算定が適切に行われているかに着眼して、28都道府県の277市区において会計実
地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
ア 届出勧奨を的確に行っていないもの
28都道府県の211市区では、平成16年度に73, 106人の退職該当者に対して届出を省略
した適用を行っており、当該市区が保有する被保険者の収入等に関する情報を活用し
て、当該退職被保険者に係る個別の世帯状況及び収入額を確認したところ、その同一
世帯に属する者のうち、退職被扶養該当者と認められる者は35, 062人であることが判
明した。しかし、211市区では、退職被扶養該当者がいるのに届出を行わない世帯の把
握や、届出を行わない世帯に対する再度の届出勧奨を行っていなかったため、17年度
末においても、退職被扶養者の適用が行われていない被保険者(以下「未適用者」と
いう。)が14, 175人となっていた。
イ 届出勧奨を的確に行ってもなお未適用者がいるもの
用を行っており、当該市区が保有する被保険者の収入等に関する情報を活用して、退
職被保険者に係る個別の世帯状況及び収入額を確認したところ、その同一世帯に属す
る者のうち、退職被扶養該当者と認められる者は3, 820人であることが判明した。66市
区では届出の勧奨を的確に行っており、42市区においては未適用者がいなくなったが、
24市区では、17年度末においても、未適用者が712人となっていた。
これらの未適用者14, 887人に係る退職被扶養該当者となった日から17年度末までの医
療給付費は計49億3662万余円であり、これに係る国庫負担金計18億8219万余円が過大に
交付される結果となっていると認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。
ア 厚生労働省において、前記の事態について十分に把握しておらず、市区の保有する
被保険者の収入等に関する情報を活用し、退職被扶養該当者がいるのに届出を行わな
い世帯を把握することなどにより、届出を省略した適用が可能となるのに、退職被扶
養者に係る届出を省略した適用についての制度を整備していなかったこと
イ 市区において、退職被扶養者に係る届出勧奨を的確に行っていなかったこと、また、
都道府県において、市区における届出勧奨の実施状況を十分把握しておらず、当該市
区に対する助言が十分でなかったこと、さらに、厚生労働省において、退職被扶養者
に係る届出勧奨の具体的な方法などについて明確に示していなかったこと
当局が講じた改善の処置
会計検査院の指摘に基づき、厚生労働省は、国民健康保険における退職被扶養者の適用
を的確に行うよう、19年9月に都道府県に対して通知を発した。その後、20年3月に国民健
康保険法施行規則を改正するなどして、次のような処置を講じた。
ア 市町村の保有する被保険者の収入等に関する情報を活用するなどして退職被扶養該
当者に対し、退職被扶養者に係る届出を省略した適用を行うことができるよう制度を
整備した。
イ 退職被扶養者に係る届出勧奨の具体的方法を定めるとともに、都道府県に市町村に
おける届出勧奨の実施状況を把握させ、取組が十分でない市町村に対しては、その的
確な実施を図るために助言させることとした。
会計検査院は、今回会計実地検査を行った28都道府県を含むすべての都道府県におい
て、厚生労働省が講じた処置に基づき退職被扶養者の適用が的確に実施されているか、